息子との出会い

いまだに自分が「母」になったことが信じられないような、不思議な感覚がある。
けれども息子との関係でいえば、わたしは絶対的に「母」なのだ。
そのことを本当の意味で感じたのは、息子が生まれた直後のことだった。

分娩台にあがってからも結構な時間苦しんだのち、ようやく息子は誕生した。
その瞬間は感動というより、無事に出てきてくれてほっとしたの一言に尽きる。
そして長い間の妊娠期間・出産の全行程がようやくこれで終わったんだと。

その後母子ともにそれぞれの処置をすませ、助産士さんがわたしのもとに息子をつれてきてくれた。初の対面に心が震える。
さっき本当にちらっと姿を見たけれど、自分も意識がもうろうとしていたので何かを感じる暇もなかったのだ。

そしてそれはおこなわれた。
助産士さんが息子をわたしの胸にうつぶせにおいて、頭をがしっと押さえつけながらおっぱいを吸わせたのだ。
目もあいていない、ひよひよの息子。
なのにわたしのおっぱいを当然のごとく探し当て、一生懸命しがみついている。
なんという生命の神秘。自然の摂理。
心の中でひたすらうぉーと叫び続けた。

産後二日目、母子同室を推奨していたその病院で、はじめて息子と一緒に夜を過ごした。
この子の命は私にかかっている(もちろん何かあればすぐナースコールできるけど)という
ものすごい使命感を抱きながら、小さな寝息にどきどきした。
自分も休息を必要とする身なので、ベッドでうつらうつらする。
でも、ふぇっふぇっとたよりない小さな泣き声がすると急いでとびおきて、ワゴンケース型のベッドをのぞきこみ、息子を抱き上げる。

母乳というのは、おっぱいを吸われることによって生産されるので、たとえでていなくても吸わせないといけない。粉ミルクを準備して、おむつを替え、そして、息子を抱きかかえる。
看護士さんもいなくて二人きり。
でも息子はやっぱりちゃあんとわかっていて、一生懸命ちゅうちゅうしている。
その姿のなんて可愛らしく神々しいこと。
わたしも何もかも初めてのことなのに、なぜかよくわからない自信にあふれていた。

そして息子はミルクをごくんごくんと飲み、すっかり満足してまた眠りについた。そんなことを数回繰り返した一晩。

あの夜のことはきっとずっと忘れないと思う。


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by crystalwise | 2006-09-01 12:06 | 子育て
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